がん情報ライブラリー ホーム > 乳がん
乳がん
乳がんの概要
乳がんは乳房組織に発生するがんで、女性のがん死亡原因の1位で、女性の20人に1人が罹患し、毎年1万人以上が死亡しているがんです。早期発見であれば、90%の人が治癒するため、自己検診や定期的な健診が重要となります。
乳がんのリスク要因・予防法
体内のエストロゲンレベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高くなるという根拠は、十分とされています。
乳がんの検査方法
マンモグラフィー、超音波検査、NRI、CT、穿刺吸引細胞診、マンモトーム生検など
乳がんの治療方法
外科療法、放射線療法の局所療法と、抗がん剤治療、ホルモン療法、分子標的治療などの全身療法があります。いろいろな治療法を組み合わせる集学的治療の考え方た進んでおり、手術による切除範囲は縮小の方向に向かっています。
外科療法では、しこりだけを切除する腫瘍核手術、しこりを含めた乳房の一部を切除する乳房部分切除術(乳房温存手術と呼ばれます)、がんの出来た側の乳房を全部切除しリンパ節の切除は行わない単純乳房切除術、乳房とわきの下のリンパ節を切除する胸筋温存乳房切除術、乳房・わきの下ののリンパ節・大胸筋や小胸筋を切除する胸筋合併乳房切除術(ハルステッド法)などがあります。
乳房温存手術は、がんの大きさが3.0㎝以下、放射線療法が可能であることなど、いくつかの条件のもとに行われます。乳がんは、比較的抗がん剤に反応しやすいがんとされています。手術が難しいほど進行したがんにも用いられますが、近年注目されているのは、術前化学療法および術後化学療法です。術前化学療法は、手術前に抗がん剤を投与してがんを小さくしてから手術することですが、がんが完全に消失している場合もあります。術後化学療法は、外科療法や放射線療法のあとで、再発予防を目的に抗がん剤を用います。また、女性ホルモンの影響を強く受けるホルモン感受性(がん細胞のホルモン受容体の発現度)の高い乳がんには、ホルモン剤を使います。閉経前乳がんと閉経後乳がんのいずれに対しても有効ですが、実際には手術で取った、組織中のエストロゲン受容体またはアンドロゲン受容体を調べ、ホルモン感受性の程度を確認する必要があります。転移性乳がんには、主として抗がん剤治療やホルモン療法などが選択されます。骨転移を起こして、骨に痛みがある場合には、主に放射線療法がおこなわれ、効果を発揮します。再発した場合には、骨などの、すぐに命にかかわらない場所での再発で、ホルモン感受性があるがんに対しては、ホルモン療法を行います。
乳がんの主な抗がん剤と副作用
抗がん剤、分子標的薬、ホルモン剤の3種類があります。
- *抗がん剤
- CAF療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+フルオロウラシル)
- AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)
- CEF療法(シクロホスファミド+エピルビシン+フルオロウラシル)
- 最近では、アントラサイクリン系薬剤を含む併用療法に、タキサン系薬剤(パクリタキセルやドセキタキセル)を加える方法の有効性が示されています。しかし、どちらも心臓に対する毒性が指摘されている薬であり、副作用については、十分に注意する必要があり、まだ確立された治療法とはなっていません。
- *分子標的薬
- TAC療法(AC療法にトラスツズマブを併用)
乳がんの20~30%は、がん細胞の表面にHER2という特殊なたんぱく質が過剰に存在しています。トラスツズマブは、このHER2陽性の乳がんに効果があることがわかっていおり、近年、分子標的薬のトラスツズマブが注目されています。ただ、HER2の過剰発現が確認された人以外は使用できません。TAC療法はAC療法よりも効果が高いと報告されていますが、心臓に対する毒性の点で、十分な注意が必要なようです。
- *ホルモン剤
- 閉経前乳がんには、LH-RHアナログ剤のリュープロレリンやゴセレリン、あるいは抗エストロゲン剤のタモキシフェンなどを用いるのが一般的です。
閉経後乳がんでは、抗エストロゲン剤かアロマターゼ阻害剤(アナストロゾールなど)を使用します。
いずれの場合も、ホルモン感受性を調べ、陽性かどうかを確認することが前提となります。
- <副作用について>
- シクロホスファミド:骨髄抑制が起こりやすいほか、出血性膀胱炎が起こることもあります。脱毛もよくみられます。
- ドセキタキセルとパクリタキセル:魔性神経障害や骨髄抑制がよく起こります。また、ドセキタキセルは胸水やむくみなどの水分貯留、パクリタキセルは過敏症にも注意が必要です。
- トラスツズマブ:発熱、寒気、ふるえなど。まれに新機能の低下や呼吸器障害など、重い副作用が出ることもあります。とくに、アントラサイクリン系薬剤と併用する場合は、注意が必要です。ホルモン剤は一般的に抗がん剤より副作用が軽いのですが、ホットフラッシュと呼ばれる顔面紅潮など、更年期症状がよくみられます。また、タモキシフェンを長期連用すると、子宮がんや血栓症を誘発することがあります。


